株式会社ドワンゴの有価証券報告書をツラツラと眺めてみる
最近の初音ミクをめぐるゴタゴタを眺めていると、エイベックスの名前が時折出てくる。少し引っかかったので、ニコニコ動画の運営会社であるニワンゴの親会社、株式会社ドワンゴ(証券コード:3715)について調べてみることにした。
株式会社ドワンゴ(EDINETコード:941630)
有価証券報告書 - 第11期(平成18年10月01日- 平成19年09月30日)
【沿革】
1997.08(H09.08) 設立(資本金1700万円)
2003.07(H15.07) マザーズ上場
2005.11(H17.11) 株式会社ニワンゴ設立
2006.03(H18.03) エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社へ第三者割当増資。業務及び資本提携契約を締結し、関連会社(持分法適用会社)となる。株式被所有割合20.7%。
[子会社]
●株式会社ドワンゴ・ミュージックパブリッシング(DMP)
音楽著作権および著作隣接権の管理・運営等。株式所有割合100%。資本金5000万円。役員の兼任3名。重要性が増したためH19年9月30日期より連結対象。
●株式会社ニワンゴ
携帯電話メールによるコンテンツ・情報配信サービスの企画・制作・運営及び動画配信関連サービスの提供等。株式所有割合75.1%。資本金9000万円 役員の兼任2名。
1.ニワンゴの親会社はドワンゴであり、ドワンゴの筆頭株主はエイベックス。
2.エイベックスがドワンゴに出資し、業務提携を行なった2006年3月と言えば、USENがエイベックスの株式を手放す時期(2006年2月)と一致する。(それまでUSENがエイベックスの筆頭株主であり持分法適用会社としていた)
USENとエイベックスが縁切りするウラ事情
http://kanapen.cocolog-nifty.com/rumour/2006/02/post_f1db_1.html
3.DMPは子会社として設立されていたが、重要性が乏しいため前期(2006年9月期)までは連結対象から外れていた。
4.DMPとニワンゴの事業内容は異なる。(ニワンゴが音楽著作権等に関する業務に直接タッチすることはないと推測される)
5.DMPとニワンゴの間では資本関係は存在せず、両社は親会社であるドワンゴを介してしか繋がらない。
6.DMPとニワンゴの役員の中に、親会社であるドワンゴの役員と兼任の人間が複数存在する。
[対処すべき課題]
4.その他事業
主に「ニコニコ動画」において
(中略)
・市場ニーズにマッチした商品の企画開発
・総合エンタテインメントポータルの媒体価値・メディアとしての認知度の向上
・権利保護の取組み強化
が必要であります。
以上を実現するためには、大規模かつ総合的な編集・管理を行えるサイト運営体制を維持し、常に、ユーザ動向の把握、各種コンテンツ権利確保者・管理者とアライアンスの推進、技術進歩を先取りした研究開発活動を継続できる優秀な人材の採用と社内教育体制の充実が必須であると考えております。
「権利保護の取組み強化」が必要で、「優秀な人材の採用と社内教育体制の充実」が必須らしい。
6【コーポレートガバナンスの状況】
2.会社の機関の内容及び内部統制システムの整備の状況
(略)また、経営企画室内にリスクマネジメントチームを設置し、当社内部統制システムの構築を推進し、日常の運用・評価の強化を図っております。
「リスクマネジメントチーム」に同情。
4【事業等のリスク】
(略)
4.法的規制について
(略)
また、音楽著作権につきましては、社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)、原盤権の保有者等への申請・許諾を受けてコンテンツ提供を行っておりますが、今後においては、許諾条件の変更あるいは音楽著作権以外の新たな権利許諾等が必要となる場合、当社グループの事業活動が制約を受ける可能性があります。
確かに「社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)」へ書類申請している。
当然ながら「原盤権の保有者等への申請・許諾を受けてコンテンツ提供」も実施しているのであろう。
【結論】
有価証券報告書は法律(証券取引法)によって規定された書類。投資家は有価証券報告書の一字一句を信じるしかないが…。(つい先日、ドワンゴの株主総会が終わったのね)
【おまけ】
[事業等の概要]
A.モバイルコンテンツ事業
当社グループにおきましては、人気楽曲の先行配信などを行うため引き続き、権利獲得に注力してまいりました。その他、新曲との連動企画、広告宣伝手法の多様化など様々な施策を積極的に実施したことにより、着うた、着うたフルサイトについては会員数が増加いたしました。
(略)
これらの取り組みにより当連結会計年度の有料ユニークユーザ数は360万1千人(前期比35万3千人減)、ARPU(●注:顧客単価と同義)は376円(同25円増)となりました。ユニークユーザー数については、当上半期において前期から引き続いていた着メロサイトの大幅な減少が影響したことによるものです。ARPUにつきましては、着うた、着うたフル等の高単価コンテンツを配信するサイトが増加したことが寄与しております。
モバイルコンテンツ事業の売上高は152億17百万円(前期比7.0%減)、営業利益は21億5百万円(同10.0%増)となりました。
主要事業であるモバイルコンテンツ事業の先行きは、不確定要素が大きいみたい。数字については有価証券報告書の【事業の種類別セグメント情報】を参照。ちなみにニコニコ動画は「その他事業」に該当。